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妊娠した従業員を解雇させることが出来るのか

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女性にとって大きなライフイベントの一つである妊娠、出産、育児ですが、会社から適切な対応を受けることはできるんのか不安に思ったことがある人は多いのではないでしょうか。

 

妊娠出産に関する法律は、現在進行形で悩まれている方も、就職先、転職先の会社でライフスタイルに合わせて長く勤めることが出来るのかどうか心配な方も、全ての人に知っておいてほしい内容です。

 

 

妊娠した従業員を解雇させることはできない

労働基準法では、産前産後休業中とその後30日間は、この労働者を解雇することはできないと定めています。

事業主は、従業員が産前産後休業、育児休業を取得することを拒むことはできません。

これは、企業規模に関わらず全ての会社に当てはまりますので、数人程度の会社で休暇が取れず辞めるしかないのでは?と悩む必要は全くありません。

 

また、男女雇用機会均等法では、労働者が妊娠、出産、産前産後休業取得を理由として解雇することを禁止しています。

妊娠中、または出産後1年以内の解雇は、「妊娠・出産・産前産後の休業などによる解雇でないこと」を証明する必要があり、証明できない場合は解雇は無効となります。

たとえ、退職勧奨という形式をとっていたとしても、圧力によりやむを得ず退職に応じなければならなかったと認められる場合は不当解雇として扱われます。

 

不利益取扱いの禁止

解雇だけでなく、労働者が妊娠、出産、産前産後休業を取得したことによって従業員に対する不利益取扱いも禁止されています。

具体的には次のようなあらゆる不当な扱いを含みます。

 

  • 解雇
  • 契約更新の打ち切りや契約更新回数の引き下げ
  • 正社員から非正規社員への契約変更
  • 減給や降格
  • 人事考課における不利益な算定
  • 不利益な配置転換
  • 不利益な自宅待機命令
  • 仕事を与えないなど就業環境を害する行為
  • 産休や育休を認めない
  • 従業員の意に反する所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限
  • 従業員の意に反する短時間勤務等の適用
  • 派遣先の事業主が派遣元に対し別の派遣労働者との交代を求める
  • 派遣契約の更新をしない

 

妊娠や出産を理由に会社から不当な扱いを受けた場合の対処法

退職を勧められた時や解雇を言い渡された時は、まずその明確な理由について書類で説明を求めましょう。

また、退職したくない、仕事を続けたいという意思をはっきりと会社に伝えることが大切です。

あいまいに返事をしてしまうと、退職に同意したとらえられ、自主退職とされてしまう場合もあります。 

また、こういったやり取りは出来る限りメールや書面に残しておきましょう。 

 

相談できる場所

(1)会社の担当窓口

まずは会社の窓口に相談しましょう。

上司から不利益な扱いを受けた場合などでは、その上司が会社の方針や法律を理解していない場合もあります。

必ず会社の総務部やコンプライアンス部に報告しましょう。

 

(2)雇用環境・均等部(室)

男女雇用機会均等の確保や、就業環境づくりのための取組みを行っています。

労働者と事業主との間でおこるトラブル(男女均等取扱い、育児・介護休業等)の解決に向けた援助も行っています。

 

(3)総合労働相談コーナー

都道府県労働局の総合労働相談コーナーは、職場のトラブルに関するご相談や、解決のための情報提供を行っています。
様々な労働問題を幅広く扱っている為、どこに相談したらいいか分からない場合などに頼りになります。

 

(4)労働基準監督署

不当解雇や賃金の未払いなど法令違反であると明確に分かっている場合は、労働基準監督署に相談しましょう。

会社に対して適切な対応を行ってもらえます。

 

(5)弁護士

解雇や賃金の未払い、ハラスメントに悩んでいる場合は弁護士に相談をして、法的措置も含めて、会社への対応を検討することもできます。

 

まとめ

事業主は、従業員が産前産後休業、育児休業を取得することを拒むことはできません。

また、男女雇用機会均等法では、労働者が妊娠、出産、産前産後休業取得を理由として解雇または不利益取扱いをすることを禁止しています。

もし従業員に対してこういった扱いを行った場合は、法的処置をとられる可能性もあります。

 

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始業前の労働時間も残業にあたるのか

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始業時間より早く出勤しても給料は変わらないのに、始業時間よりも早く出社することを強いられる会社もありますよね。

決められた時間以上に働いているのに残業にならないのでしょうか?

 

 

会社の命令によるものであれば「労働時間」にあたる

始業時間よりも早く出勤した時間は、会社の命令によるものであれば労働基準法上の「労働時間」にあたると言えます。

もちろん、労働時間にあたる時間が1日8時間を超える場合には残業代として割増賃金をを請求することが出来ます。

 

「残業」は終業時間後に働くことだけではない

残業というと、終業時間の後も働いた時間のことと思われがちですが、始業時間前から働いた場合でも、一定の要件を満たす場合は、始業前の労働も「残業」にあたります。

 

残業は「時間外労働」のことで、本来決められた労働時間よりも長く働くことを意味します。

本来決められた時間以上の労働であれば終業後や始業前でも、「時間外労働」として扱われます。

 

また、「時間外労働」1日の労働時間が8時間を超える場合は、その時間において固定賃金の1.25倍の割増賃金が支給されます。

 

「労働時間」の定義と具体例

労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間とされていて、使用者の指揮命令下に置かれたものかどうかの判断は客観的に定まるものであるとされています。

使用者の指揮命令下に置かれている時間かそうでないかは、その時間の労働者の行為が業務に関連するか、使用者の明示または黙示の指示があったかによって判断されます。

 

始業前に朝礼がある場合

朝礼に参加しないとその後の業務の遂行に支障をきたす場合や、朝礼に参加しないと人事査定上の不利益などを受ける場合など、参加が必須であるといえるときは、業務に関連し、使用者からの指示があったと認められやすいといえます。

 

上司から勉強のために1時間早く出勤するように言われた

業務に関する勉強の為であれば業務に関連していると言えます。

単にアドバイスとして言っただけで、従わなくても人事査定で不利益がない場合には、使用者の指示があったとは認められにくいと言えます。

しかし、これに従わなかった場合、労働者の評価が下がるといった場合は使用者の指示があったと認められる可能性があります。

 

始業時間前に着替え等をすませておくよう指示された

制服や作業着などへの着替えが業務上または法律上義務義務付けられている場合、業務に関連し、使用者による指示と認められやすいです。

 所定の始業時刻に実作業を開始した場合でも、実作業前の更衣などの準備時間と実作業終了後片付けの時間などを、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価された事例もあります。

 

早朝出勤をしないと仕事が終わらない場合

業務を行うので当然のことながら業務に関連しています。

業務量が多すぎて早朝に出勤せざるをえない場合で上司がそれを黙認している場合や、早朝出勤をしないと人事査定で不利益があるといった場合は、直接的な指示がなかったとしても、使用者の黙示の指示があったと認められる場合があります。

 

 

 

 まとめ

 「労働時間」として認められる場合は、始業前の出勤も残業にあたるといえます。

 「労働時間」として認められるかどうかは客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれた時間であるといえるかどうかで判断されます。

業務に関連のある事柄の為に、会社や上司から明示または黙示の指示があった場合は 「労働時間」と認められます。

 

平均賃金を利用した休業手当の計算方法について

最近では、新型コロナウイルスの影響で従業員に休業手当を支給している企業も多いのではないでしょうか。

休業手当に関わらず様々な場面で必要となるのが「平均賃金」です。

 

 

「平均賃金」の計算が必要な手当

休業手当のほかにも、従業員の平均賃金を算出することで支給される手当があります。

 

「平均賃金」の計算方法

平均賃金は原則、手当を支給する理由となる事柄が発生した日以前の3か月間に支払われた賃金の総額を、3か月間の暦日数で割ったものとなります。

歴日数は、例えば1月~3月の3か月間とすると、31日+28日+31日=90日 となります。

 

このとき算出した平均賃金に1円以下の端数が発生した場合は、銭未満の端数を切り捨てます。

 

平均賃金を算出する際の注意点

平均賃金の計算には、支給されたすべてを賃金の総額に含めますが、以下のものは例外として平均賃金の算定に含まれません。

  • 退職金など臨時に支払われた賃金
  • 賞与などの3か月を超える期間ごとに支払われる賃金

通勤手当や固定残業手当、家族手当などは計算に含めるので要注意です。 

 

以下の期間は、平均賃金を算出する際の総日数に含まれません。

この期間に支払われた賃金についても平均賃金の計算に含まれません。

  • 業務上での負傷や疾病による療養のための休業期間
  • 産前産後の休業期間
  • 育児休業または介護休業期間
  • 使用者の責めに帰すべき事由による休業期間
  • 試用期間(賃金額が低い場合があるため)

 

具体的な休業手当の計算方法

毎月15日締め当月末日払いとしている会社で、3月20日~4月10日にかけて15日間休業が発生した場合について説明します。

 

平均賃金を算出する期間は、12月16日~1月15日、1月16日~2月15日、2月16日~3月15

日の3か月間となり、暦日の総日数は90日です。(2月は28日間とする)

休業が発生した従業員の賃金の総額が1月支給が250,000円、2月支給が232,000円、3月支給が270,000円だったとした場合、3か月の賃金の総額は752,000円です。

平均賃金は、

752,000 ÷ 90 = 8355.555555 端数処理(銭未満切捨)をして 8355.55円 となります。

 

休業した日数は15日なので、休業手当は、

8355.55 × 15 = 125,333.25 端数処理(四捨五入)をして125,333円となります。

 

最低保証額について

平均賃金の算出の対象となる3か月間において、日給制などで労働日数が少ない場合などでは正しい平均賃金を計算できない可能性があります。

その場合には「最低保障額」を算出することで手当を支給します。

 

最低保障額は、手当を支給する理由となる事柄が発生した日以前の3か月間に支払われた賃金の総額を、3か月間で実際に働いた日数で割ったものに60%をかけた金額です。

 

 

算出した最低保障額が、平均賃金よりも高い場合は最低保障額を平均賃金として採用するします。

つまり、原則どおりの平均賃金の計算方法で算出した平均賃金と、最低保証額のどちらか高い方をその人の平均賃金として採用する仕組みになっています。

 

まとめ

平均賃金の計算方法は、

直前の3か月間に支払われた賃金の総額 ÷ 3か月間の暦日数です。

最低保証額の計算方法は、

直前の3か月間に支払われた賃金の総額 ÷ 3か月間の労働日数 × 0.6 です。

 

各手当は、上記の計算方法で算出された額の高い方を平均賃金として計算します。

 

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時間外労働(残業)の上限ってどのくらい

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皆さんの会社では、日々どのくらい残業が発生していますか?

もしかしたらそれは法律の定めを超えた違法な残業かもしれません。

2020年4月より、働き方改革の一環として始まった残業時間の上限規制が中小企業でも施工されるため注意が必要です。

 

 

残業時間の上限は、原則月45時間年、360時間

残業時間の上限は、原則月45時間、年360時間です。

特別の事情がなければこれを超えると違法となります。

この定めは大企業は2019年4月に施工されていて、中小企業は2020年4月から対象となります。

 

 特別条項を設けた場合の残業可能時間

特別な事情がある場合に限り、上限を超える残業を例外的に認める制度が「特別条項」の制度です。 

 

特別条項を設けた場合の時間外労働の上限は以下の通りです。

  • 月100時間未満(休日労働時間を含める)
  • 複数月平均80時間以内(休日労働時間を含める)
  • 年720時間以内(休日労働時間を含めない)

 

まず、時間外労働と休日労働の合計は月間100時間未満でなければなりません。

 

そして、時間外労働と休日労働の合計について、<2か月平均><3か月平均><4か月平均><5か月平均><6か月平均>の全てが、ひと月あたり80時間以内である必要があります。
また、時間外労働が月45時間を超えて働くことができるのは、年間のうち6か月が上限です。

月80時間は、1日当たり4時間程度の残業に相当します。

 

年間の上限は、休日労働を含めると最大時間は960時間となります

 

違反した場合の罰則

今回の法改正は、上限規制を守らない使用者への刑罰規定が加えられています。

これまでに説明した法律に違反した場合には、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されるおそれがあります。(例外あり)

 

注意

そもそも、従業員に法律で定められた法定労働時間の1日8時間、週40時間の範囲を超える残業をさせるには、36協定の締結が必須です。

 

本来、法定労働時間の範囲を超えて労働者を働かせることは違法ですが、労働者と使用者の間で労使協定を結び、労働基準監督署長へ届け出ることで、労働者に法定時間外労働や法定休日の勤務をさせることが可能となります。

 

この労使協定のことを、一般に36(サブロク)協定と呼びます。(労働基準法第36条の規定を根拠としているため)

 

 

 

まとめ

 

残業時間の上限に関する法改正が、2020年4月より中小企業も対象となります。

残業時間の上限は、原則月45時間、年360時間で、特別な協定を結んでいない限りこれを超えると法律違反となり罰則の対象となります。

 

使用者と労働者の双方が法律を理解した上で、お互いが納得できる労働時間のルールを作っていくことが大切です。

定額残業手当は欠勤控除できるのか

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月の途中で入社もしくは退職した場合や、欠勤控除を行う場合など、定額残業手当(固定残業手当)を日割り計算して控除しても良いものか迷ったことがある人も多いのではないでしょうか。

 

 

定額残業手当は、欠勤控除できる

定額残業手当の欠勤控除に関しては法的定めがないため、就業規則でルールを定める事で運用される事になります。

つまり、就業規則に固定残業手当を控除の対象とすること、また控除する場合の計算方法等を明記しておけば、定額残業手当を欠勤控除の対象とすることが可能です。

 

したがって、月中途入社や月途中退職に係る日割り計算についても、具体的な計算方法を定められた上で、働いていない日数分を控除することは問題ありません。

 

注意点

定額残業手当の金額を超える残業を行った場合は、当然、時間外労働手当は満額支給されます。

欠勤控除を行った結果、実際の時間外労働の賃金が、欠勤控除した後の定額残業手当よりも大きい場合は、オーバーした分の残業代を支払わなくてはなりません。

 

具体的事例

給与の日割り計算につきましては法的な定めがないため、就業規則に基づき計算します。

ここでは末締めで月所定労働日数が20日(160時間)の会社を例に説明します。

 

基本給200,000円、固定残業手当31,250円(20時間分)の従業員が月の途中で退職した場合で、最終月は15日出勤したとします。

 

固定残業手当も日割り計算する場合の計算は、以下の通りです。

基本給:200,000円 × 15日 ÷ 20日 = 150,000円

固定残業手当:31,250円 × 15日 ÷ 20日 = 23,438円

 

上記の仮定で、もし実際の残業時間が18時間だった場合、

時間外労働手当:

200,000 ÷ 160時間 × 1.25 × 18時間 = 28,125円

28,125円 - 23,438円 = 4,687円

 

となり、固定残業手当 23,438円 に加えて時間外労働手当を 4,687円 を支払う必要があります。

 

 

 

まとめ 

就業規則に定額残業手当を控除の対象とすること、また控除する場合の計算方法等を明記しておくことで、定額残業手当は欠勤控除することが出来ます。

その場合でも、実際の時間外労働手当が控除後の定額残業手当を上回った分は、その分の手当を支給する必要があります。

 

月途中の入社(or退職)社員の社会保険の控除について

毎月お給料から天引きされる社会保険料ですが、月の途中で入社または退職した従業員の社会保険はいつからいつまで控除すればよいのでしょうか。

(ここでの社会保険とは、健康保険と厚生年金保険のことを指します。)

 

 

月途中入社は入社日が属する月から保険料が発生

月途中に入社した場合は、入社した日が属する月から社会保険料が発生します。

ほとんどの会社で社会保険料は翌月徴収していますので、入社した月の翌月支給のお給料から初めての社会保険料が控除されることとなります。

 

月途中退社は退職日の翌日が属する月の前月まで保険料が発生

月途中に退職した場合は、は退職日の翌日が属する月の前月まで保険料が発生します。

その為、月の末日の退職とそれ以前の退職では社会保険料の取り扱いが変わるため要注意です。

 

月の末日以外の退職は、退職した月の前月分まで保険料が発生し、退職した月に支給されるお給料で最後の社会保険料が控除されます。

月の末日で退職した場合は、退職した月まで保険料が発生し、退職した月の翌月支給のお給料で最後の社会保険料が控除されることになります。

社会保険料が翌月徴収の場合)

 

具体的な事例

・1月16日入社の場合

社会保険料は、入社日の属する月である1月分から発生し、2月支給のお給料から控除されます。

 

・12月28日退職の場合

社会保険料は、退職日の翌日が属する月の前日である11月分まで発生し、12月支給のお給料から最後の社会保険料が控除され1月支給からは控除されません。

 

・11月30日退職の場合

退職日の翌日が属する月は12月となり、その前月である11月分まで社会保険料が発生し、12月支給のお給料から最後の社会保険料が控除されます。

 

注意点

ここで紹介したものは、すべて社会保険料が翌月徴収の会社の場合です。

ほとんどの会社は翌月徴収を採用していますが、中には当月徴収、翌々月徴収としている会社もあるため要注意です。

 

例えば、給与が当月締め当月払いの会社で、社会保険料を当月徴収している場合についてです。

 12月31日に退職した場合、社会保険料は1月分まで発生しますが、1月支給の給与は発生しない為、1月の社会保険料を12月支給の給与で控除することが出来ます。

 

つまり、12月支給の給与からは、2か月分(12月分と1月分)の社会保険料が天引きされることになります。

 

まとめ

月途中入社は入社日が属する月から保険料が発生し、月途中退社は退職日の翌日が属する月の前月まで保険料が発生します。

 

何月支給の給与で社会保険料を天引きされるかは、会社によって給与の締め支払い、社会保険料を徴収する月が違うのでそれぞれ確認が必要です。

入社時退社時の社会保険料が何月分からまたは何月分まで発生するのかを確認し、あとはそれぞれの会社の規定に当てはめて計算しましょう。

 

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有給休暇の日の出勤は残業手当や休日手当がつくのか

有給休暇の日の出勤は残業手当や休日手当がつくのかどうか。

多くの人が良く直面する問題かと思います。

 

 

1日8時間、週40時間を超えない限りは割増賃金は発生しない

結論から申し上げますと、労基法は実労働時間主義を採っていますので、時間外割増賃金は実働分に対してのみ発生します。

実働時間が1日8時間、週40時間を超えがない限りは割増賃金は発生せず、お給料の1.0倍の支給となります。

 

有休・代休・振休の日は、原則労働してはいけません。

やむを得ず出社ししなければならない場合は、労働時間分のお給料を支給し、有給休暇を取得しなかったことにするのが正しいです。

 

具体的な事例

所定労働時間が9:00~18:00(休憩1時間)で、1日の所定労働時間が8時間、土日休みの週5日勤務の事業所の場合で説明します。

例えば金曜日に有給休暇を取得予定としていたが、木曜日までに終わらなかった仕事があったため金曜日の午前中の9:00~12:00だけ出社したとします。

その場合、金曜日の9:00~12:00の労働は残業でも休日出勤にもなりません。

金曜日に9:00~19:00(休憩1時間)働いた場合は、8時間を超えた1時間分だけが残業扱いとなり、1.25倍のお給料が支払われることとなります。

 

では、同じ会社で金曜日に午前休を取得し、午後14:00から出社した場合を見ていきましょう。

14:00に出社し、定時の18時を超えて20時まで残業していたとします。

この場合も、14:00~20:00の労働で6時間勤務となり、8時間を超えない為18:00以降の労働も残業時間として扱われることはありません。

 

注意点

会社からの明示・黙示の指示命令が一切ない状態で、社員が勝手に出勤したのであれば、原則、賃金を支払う必要はありません。

しかし、休日に出勤しなければならないほどの業務量がある状況を雇用主が黙認していた場合は、黙示の承認があったとみなされる場合もありますので、注意が必要です。

 

まとめ

残業手当や休日出勤手当の支給は、実労働時間によって発生するものであるため、有給休暇取得日に出勤したからといって、必ずしも支給されるものではありません。

当たり前のとこではありますが、休日は出勤禁止とし、どうしても出勤する必要がある場合は、事前の許可制にし対応するのが良いと思います。

 

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