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始業前の労働時間も残業にあたるのか

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始業時間より早く出勤しても給料は変わらないのに、始業時間よりも早く出社することを強いられる会社もありますよね。

決められた時間以上に働いているのに残業にならないのでしょうか?

 

 

会社の命令によるものであれば「労働時間」にあたる

始業時間よりも早く出勤した時間は、会社の命令によるものであれば労働基準法上の「労働時間」にあたると言えます。

もちろん、労働時間にあたる時間が1日8時間を超える場合には残業代として割増賃金をを請求することが出来ます。

 

「残業」は終業時間後に働くことだけではない

残業というと、終業時間の後も働いた時間のことと思われがちですが、始業時間前から働いた場合でも、一定の要件を満たす場合は、始業前の労働も「残業」にあたります。

 

残業は「時間外労働」のことで、本来決められた労働時間よりも長く働くことを意味します。

本来決められた時間以上の労働であれば終業後や始業前でも、「時間外労働」として扱われます。

 

また、「時間外労働」1日の労働時間が8時間を超える場合は、その時間において固定賃金の1.25倍の割増賃金が支給されます。

 

「労働時間」の定義と具体例

労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間とされていて、使用者の指揮命令下に置かれたものかどうかの判断は客観的に定まるものであるとされています。

使用者の指揮命令下に置かれている時間かそうでないかは、その時間の労働者の行為が業務に関連するか、使用者の明示または黙示の指示があったかによって判断されます。

 

始業前に朝礼がある場合

朝礼に参加しないとその後の業務の遂行に支障をきたす場合や、朝礼に参加しないと人事査定上の不利益などを受ける場合など、参加が必須であるといえるときは、業務に関連し、使用者からの指示があったと認められやすいといえます。

 

上司から勉強のために1時間早く出勤するように言われた

業務に関する勉強の為であれば業務に関連していると言えます。

単にアドバイスとして言っただけで、従わなくても人事査定で不利益がない場合には、使用者の指示があったとは認められにくいと言えます。

しかし、これに従わなかった場合、労働者の評価が下がるといった場合は使用者の指示があったと認められる可能性があります。

 

始業時間前に着替え等をすませておくよう指示された

制服や作業着などへの着替えが業務上または法律上義務義務付けられている場合、業務に関連し、使用者による指示と認められやすいです。

 所定の始業時刻に実作業を開始した場合でも、実作業前の更衣などの準備時間と実作業終了後片付けの時間などを、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価された事例もあります。

 

早朝出勤をしないと仕事が終わらない場合

業務を行うので当然のことながら業務に関連しています。

業務量が多すぎて早朝に出勤せざるをえない場合で上司がそれを黙認している場合や、早朝出勤をしないと人事査定で不利益があるといった場合は、直接的な指示がなかったとしても、使用者の黙示の指示があったと認められる場合があります。

 

 

 

 まとめ

 「労働時間」として認められる場合は、始業前の出勤も残業にあたるといえます。

 「労働時間」として認められるかどうかは客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれた時間であるといえるかどうかで判断されます。

業務に関連のある事柄の為に、会社や上司から明示または黙示の指示があった場合は 「労働時間」と認められます。