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平均賃金を利用した休業手当の計算方法について

最近では、新型コロナウイルスの影響で従業員に休業手当を支給している企業も多いのではないでしょうか。

休業手当に関わらず様々な場面で必要となるのが「平均賃金」です。

 

 

「平均賃金」の計算が必要な手当

休業手当のほかにも、従業員の平均賃金を算出することで支給される手当があります。

 

「平均賃金」の計算方法

平均賃金は原則、手当を支給する理由となる事柄が発生した日以前の3か月間に支払われた賃金の総額を、3か月間の暦日数で割ったものとなります。

歴日数は、例えば1月~3月の3か月間とすると、31日+28日+31日=90日 となります。

 

このとき算出した平均賃金に1円以下の端数が発生した場合は、銭未満の端数を切り捨てます。

 

平均賃金を算出する際の注意点

平均賃金の計算には、支給されたすべてを賃金の総額に含めますが、以下のものは例外として平均賃金の算定に含まれません。

  • 退職金など臨時に支払われた賃金
  • 賞与などの3か月を超える期間ごとに支払われる賃金

通勤手当や固定残業手当、家族手当などは計算に含めるので要注意です。 

 

以下の期間は、平均賃金を算出する際の総日数に含まれません。

この期間に支払われた賃金についても平均賃金の計算に含まれません。

  • 業務上での負傷や疾病による療養のための休業期間
  • 産前産後の休業期間
  • 育児休業または介護休業期間
  • 使用者の責めに帰すべき事由による休業期間
  • 試用期間(賃金額が低い場合があるため)

 

具体的な休業手当の計算方法

毎月15日締め当月末日払いとしている会社で、3月20日~4月10日にかけて15日間休業が発生した場合について説明します。

 

平均賃金を算出する期間は、12月16日~1月15日、1月16日~2月15日、2月16日~3月15

日の3か月間となり、暦日の総日数は90日です。(2月は28日間とする)

休業が発生した従業員の賃金の総額が1月支給が250,000円、2月支給が232,000円、3月支給が270,000円だったとした場合、3か月の賃金の総額は752,000円です。

平均賃金は、

752,000 ÷ 90 = 8355.555555 端数処理(銭未満切捨)をして 8355.55円 となります。

 

休業した日数は15日なので、休業手当は、

8355.55 × 15 = 125,333.25 端数処理(四捨五入)をして125,333円となります。

 

最低保証額について

平均賃金の算出の対象となる3か月間において、日給制などで労働日数が少ない場合などでは正しい平均賃金を計算できない可能性があります。

その場合には「最低保障額」を算出することで手当を支給します。

 

最低保障額は、手当を支給する理由となる事柄が発生した日以前の3か月間に支払われた賃金の総額を、3か月間で実際に働いた日数で割ったものに60%をかけた金額です。

 

 

算出した最低保障額が、平均賃金よりも高い場合は最低保障額を平均賃金として採用するします。

つまり、原則どおりの平均賃金の計算方法で算出した平均賃金と、最低保証額のどちらか高い方をその人の平均賃金として採用する仕組みになっています。

 

まとめ

平均賃金の計算方法は、

直前の3か月間に支払われた賃金の総額 ÷ 3か月間の暦日数です。

最低保証額の計算方法は、

直前の3か月間に支払われた賃金の総額 ÷ 3か月間の労働日数 × 0.6 です。

 

各手当は、上記の計算方法で算出された額の高い方を平均賃金として計算します。

 

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